世界一周(チケット)の旅 ‐ シカゴ無事帰って参りました!?
7月19日(火)
会社辞めちゃいました!
会社が2度めの早期退職プランを発表。会社の将来性と自分の年齢を考えた上で申請。退職金の他に数百万円の上乗せ分をもらうことに。
最初はすぐに転職することを考えたけど、折角のチャンス(金・暇・体力がある!)だから、世界1周の旅に出ることにした。アパートを引き払って、19日に出発!!
旅のテーマは、今回も建築・食べ物・そして音楽!!サブ・テーマはラザニア!?
世界1周チケット
会社を辞めることになるまで知らなかったんだけど、航空会社の各グループで「世界1周チケット」というのもを販売していて、バラバラで買うよりかなりお得な価格設定。自分の行きたいところをいろいろ考えた上で、ワン・ワールドに決定!(株)世界一周堂の角田さんにフライト・スケジュールなどを相談し、チケットを購入。18回のフライトで355,400円(以前は、もっと安かったみたい...)。他に空港使用料などを5万円くらいと消費税を振り込んだら、宅配便で航空チケットが送られてきた!
シカゴには同じ日の午後4時に到着。
地下鉄を出て、ホテルに向かって歩いて歩き出すと、いきなり
マリーナ・シティが現れた!
このシカゴ中心地に建つ、トウモロコシのような形をした双子
のビルの設計者はバートランド・ゴールドバーグ。1967年(!)
に完成したというのが信じられないくらい、ユニークな造形。
上3分の2はマンション。下の部分は駐車場。
暫くあっ気に取られて見上げていた...。凄い!本当にシカゴ
に来た実感が沸いてきた!このビルが建てられた背景、その
後のシカゴの反映を考えると、シカゴで一番象徴的なビルだと
思う。★★★★★です!
シカゴで泊まったカスホテルの室内は普通の日本人
がギリギリ我慢できるレベル。でも、この街では100ドル
出しても、まともなホテルに泊まれないので、税込みで、
ロケーションも良くて84ドルなら寧ろ安いくらいだろう。
(なぜか写真がピンボケ。カメラも時差ボケかな??)
コインランドリーもあるので、結構便利!!
マクドナルドはどうやらシカゴで創業したらしい。
シカゴ中心部にロックンロール・マクドナルドという
店舗があるのでいってみた。
2階にル・コルビュジェやミースの椅子をブースの
ようにして置いてあるのにはビックリした。もちろん、
ここに座って、ハンバーグを頂くことができる。
★★★★ 天晴れ!
まっ、長旅で疲れていることもあるけど、晩飯をマックで済ましてしまったということでもある...。
7月20日(水)
いつもの通り、思い切り早起きしてしまった。もったい
なくって、寝てられない!
ホテルの周りを散歩していると、一見、フランク・O・
ゲーリー風のビルを発見。入り口で確認すると、どうやら
「The Norman and Ida Stone Institute
of Psychiatry」
という、医療関連のビル / 施設のようである。
安藤 忠雄の「連戦連敗」で詳しく説明されている、シカゴ・
トリビューンという新聞社のビル。
1922年に行われたコンペには、世界中の著名な建築家が
ユニークな提案を行ったが、結局選ばれたのは、当時流行
していたネオ・ゴシック様式の、レイモンド・フッドの作品。
でも、実物を見たけど、やっぱり自分の好みじゃない...。
条件がかなりゆるかったこともあり、様々な提案があったので、
このコンペは今でも着目されることが多い。でも、逆に選ぶ側
からすれば、ユニークな提案は奇異に映り、結局面白くもない
このデザインになったのではないかと、勝手に推測。 ★。
シカゴの街の南側に移動する。
シカゴには有名な建物がいくつもある。しかし、その多くは、
シカゴ出身の建築家か、外から移り住んだ建築家が設計して
いるらしい。そのためか、作品としては全体的に真面目で、
あまり面白味がない。ただ、デカイだけ、高いだけという建物
が多い。
写真は、ミレニアム・パークにある箱物噴水の前で記念写真。
撮影後、ちょっと北上してみると...。
オーッ!そこにはフランク・O・ゲーリーによる
野外音楽堂が!
ゲーリーらしい造形ではあるが、カブトムシ
(甲虫)のようなイメージ。使用目的に合わせて、
レイアウト(形態?)が変わるのも生物的。
周囲にはかなりの人数のガードマンが警備に
あたっていたが、移動にはセグウェイが使われて
いた...。無理やり使わされていたようにも見えた
けど...。
シカゴ建築財団というところが、船に乗り、シカゴ川から建築を見学する「Architecture
River Cruise」というツアーをやっているので、参加してみた。23ドル。
このツアーのウリは川から見れば、なんの障害物もなく、著名なビルを真直に見ること
ができるところ。確かに、前出のマリーナ・シティも大迫力で迫ってくるが、同時に炎天下
では強い日差しが、なんの障害物もなく降り注ぐということ...。
左下の写真のビルは333 ウエスト・ワッカー・ドライブといい、「地球の歩き方」では
「シカゴ市民のお気に入り」と紹介されているが、実は建築家の安藤
忠雄のお気に入り
でもある。写真では分かりづらいが、川に向かって扇形をしている。
その写真の右下の白い服装のお婆ちゃんが、このツアーのガイド。本当に元気で、記憶
力も飽きれるくらい素晴らしい!!。
右上のビルはレイク・ポイント・タワー。ダウンタウンの一番東に位置していることもあり、
ちょっと孤立した印象。高層ビルなのに、黒く、ナメナメの外観はちょっと威圧感とともに、
気持ち悪さを感じる。ここに住むことが、シカゴの若い人の中では成功者の象徴で、憧れ
らしい。
ちなみに、このビルの設計者であるジョージ・シポレイトとジョン・ハインリッヒはミースの
バウハウス時代の教え子らしい。
昼食は念願のシカゴピザ!に挑戦。NumeroUNO
という有名店に入店。1人用・サラダ付きで約6ドル。
想像していたより、かなり小さい。まるで果物を使った
ケーキのようである。
生地が厚く、堅いので、ナイフを鋸のようにして一口
分を切り出し、口に運ぶ…美味い!上に載っている
色々な具の味と合わさって、味に深みが出ている。
一方、問題なのは生地。焼いた食パンのようになった
生地はかなり細かく切ってもパソパソで喉の通りが悪い。
また、見ためより量も多く感じることにはビックリした...。
お腹を空かして入ったのに、完食がやっと。★★★+。
時差のためか体がだるいので、昼寝を取った後、思い
切ってジャズ・ショーケースというライブ・スポットに行く
ことにした。
8時半に着いたら、すぐに演奏が始まるというので、即
入店。チャージは20ドルだった。
この日はGary Burton Quintet という、かなりハード
なビブラフォンを演奏するおっちゃんが率いるバンドで、
早弾きのピアノ、トロピエのような演奏・雰囲気のギター
などの若手で固められている。
演奏はとてもエキサイティングで、特に、ゲットアッブ&
ゴーという曲は最高だった。
演奏が終わったのは11:30!ホテルが近かったので、
後半も聞くことにしたのだが、帰り道はさすがに、ちょっと
ビビッた。思わず、ホテルまでダッシュしてしまった...。
(写真は休憩中に撮ったので、演奏者は映っていま
せん...。)
7月21日(木)
また早朝に眼が覚めてしまったので、時間的にはかなり早いが、シカゴ近郊の町、
オーク・パークに向かった。この街には、フランク・ロイド・ライトが最初に設計した
自宅やプレーリー・ハウスと呼ばれる、彼の初期の作品を見ることができる。建築
マニアにとっては、ライトのテーマ・パークのように映ると思う。
アクセスは意外と簡単で、シカゴ市街地から地下鉄で30分位のオークパーク駅で
降りたら、歩いて15分位。平地だし、日本の別荘地のような雰囲気なので、炎天下
でも気持ち良い。
ライトの自宅とスタジオの内部を見学するツアー
は、予想していたよりも、ずっと楽しく、まるで忍者
屋敷にでも来ているような感じだった。
また、彼のアイデアがいたるところに盛り込まれて
いるので、飽きることがない。絶対にお勧め!
いろいろな写真集などでも紹介されているが、残念
ながらこの良さは分からないと思う。 但し、中を
撮影禁止にしているのは、理解できない。ケチ!
その後、他の彼の作品を見て回ったが、アーサー・
B・ヒュートレイ邸は堂々として、かつ、水平方向に
伸びやかなので、見ていて気持ちが良い。
正面の二本の柱が、視覚的に安定感を与えている。
内部を見学できないのが、本当に残念。必見である。
一通り見て廻った後、ユニティ・テンプルに向かった。
ライト曰く、先程の自宅とともにお気に入りの一つだとか。
外観も室内も一見簡素であっさりしているが、時間を
掛けて見ていると、段々その素晴らしさが分かってきた。
特にコーナーに配置された、かなり太めの4柱が室内外
に視覚的な安心感を与えているとともに、造形上のアク
セントとなっている。
ちなみに、この柱の内部は階段になっている。
オークパークからの電車を降りて、改札を抜けた後、
度肝を抜かれた。目の前に広がる空間を理解できない
でいた。
ここはジェームス・R・トンプソン・センターらしい。
地下を入れたら十八階分の吹き抜けなのだ。
これでも州政府のビルと知り、またまた驚く。誰でも
考えそうなデザインだけど、実行してしまうアメリカ人
のパワーに脱帽。
昼飯はリブ・ステーキ!に挑戦することにし、
「地球の歩き方」に掲載されていた、カーソンズ
という店に入った。他の店が20ドルくらいする中、
10ドルで食べられるらしい。
でも入って、メニューを見てビックリ!!ハーフ
でも13ドル位する。仕方ないので、ホールとビール
を注文。税込みで26ドル...。
写真では凄いボリュームだけど、骨を残すことに
なるので、リブだけではそれほどの量ではない。
味??日本ではあまり食べたことがないので、
比較評価はできないが、肉の味はあらびきソーセージ
のようで、味付けはスナック菓子みたいだった。
アメリカ人の手羽先といったところだろうか。
満腹になったので、ホテルに帰って仮眠。8時位
にホテルを出て、ブルー・シカゴというブルース・
スポットに向かった。演奏は9時からというので、
それまでチビチビと飲み始める。
時間になると、隣で飲んでいた妙に陽気なおっ
ちゃん達がステージに向かっていく。なんと出演者
だったのだ!
演奏するのはドロドロのブルースではなくて、ドライ
で堅い感じ。専属のキング?という男性ボーカルが
加わって、さらに音が引き締まる。
このボーカルの男性は60歳は過ぎていると思うの
だが、渋い声で、音量も十分。8ドルでこれだけ良質
のセッションを聞くことができるとは思わなかった。
次に出てきた、パトリシア・スコットが歌い始めた
瞬間、思わず涙が頬を伝った...。凄い!凄すぎる!
キーボードのおっちゃんも言っていたが、こんな明るく、
パワフルな歌を聞いたことがない。彼女が歌っている
間は涙が止まらなかった。
彼女の演奏が終わったあと、CDを購入。記念写真
を頼んだら、快く対応してくれた。
2回目のセッションが終わったら、12時を回っていた。
ヤバッ!この晩も、走ってホテルまで帰った。
おまけ(2024年1月追記)
帰国後10年以上経って、購入したCDをクルマ
で聞こうと思いMP3化していたら、なんとCD
ジャケットがダウンロードされている!
試しにネットで検索してみたら、Amazon経由
で(2024年1月時点でも)購入できるようだ。
自主制作CDだとずっと思っていたのだけど、
想像以上にメジャーなようでビックリした。
7月22日(金)
前の晩は1時に寝たのに、この日も朝4時に起きて
しまった...。朝日が出るのを待って、ミースが設計した、
レイク・ショア・ドライブ・アパートメントにいってみる
ことにした。
1階のロビーにミースの椅子が置かれていたので、
そのビルがお目当ての建物だと分かったが、なければ
見逃していたかもしれない。その位、地味な存在。
外観はサイズの異なるH鋼を組合せて、突貫工事で作ったような様相。時代が時代だったのかも知れないが、これがミースの設計でなく、湖畔に面するロケーションになければ、とっくに取り壊されていることだろう。
シカゴ建築財団などが行っている、建築見学ツアーに含まれていないは、この辺りを配慮しているのかもしれない。
シカゴ中心部からバスで30分強。さらにバス停
から歩いて20分位のところに、ライトが設計した
フレデリック・C・ロビー邸(ロビー・ハウス)が
ある。
水平方向にとても伸びやかで、昨日見たアー
サー・B・ヒュートレイ邸に劣らないようなデキ。
面白いのは東側玄関前(写真左側)から2階の
応接間の前(屋外)を通って、西側の中庭に抜け
られるところ。オーク・パークの自宅で見られた
ような、忍者屋敷のような設計である。
残念だったのが、案内してくれたガイド。内部
を見るためにはツアーに参加しなくてはいけない
のだが、説明が長い割に建物を見る時間を与えて
くれない。
また、ライトがドイツに行った時に浮気をした話など
地下室に立たせたまま延々と続ける。もっと詳細を
見る時間を与えてほしい。
あまりにもダラダラと続けるものだから、私を含め、
参加者の三分の一位が途中で出て来てしまった...。
とても後味が悪い。
ロビーハウスのすぐ目の前には、シカゴ大学の
ビジネス・コースの校舎があるが、これもかなり
見応えがある。
また、そのすぐそばには、ロックフェラー・
メモリアル・チャペルがある。
これまた、えらくデッカイ教会ではあるが、内部の
つくりなどを見ると、大理石を使ったインレイなど、
意外としっかり作られていて、逆にビックリする。
とても、アメリカらしくない建物である。
ロビー・ハウスの帰りにシカゴ美術館に寄って
みた。この美術館は本当に凄い。特にルノワール
やセザンヌなどの印象派の作品は質・量ともに
圧倒された。
一方、安藤の屏風ギャラリーは薄暗く、瞑想
ルームと化していた。
左の絵は、スーラの「グランド・ジャット島の
日曜日の午後」という点描による作品。この作品
シカゴでしか見れないらしい。
この絵は、ゴーギャンの「神の日」という
作品。
理由はわからないけど、30才過ぎてから、
ゴーギャンがとても気になりだした。見ている
だけで、タヒチのゆったりとしたリズム感が
伝わってきて(行ったことはないけど...)、
リラックスできる。
ウッドの「アメリカン・ゴシック」は、よくパロディー
などで使われるので、ご存知方も多いと思う。。
ホテルに帰り、ちょっと休憩。その後、ハンコック・センターに展望台があり、そこからの夜景がきれいだと「地球の歩き方」に読者からの投稿があったのでいってみた。
しかし、レストラン / ラウンジのようになっていて、展望スペースなどないようだったので、レストランに並ぶ振りをして、暫く夜景を眺める。その後、食事はしないでホテルに帰った...。だって、一人で来ている客などいないんだもの...。
7月23日(土)
この日はメキシコ・シティーへの移動日。シカゴはとてもクリーンな印象だった。これは、シカゴがビジネスの街で、高層ビルが立ち並んでいて、朽ちた民家などはないためもあるが、ゴミ箱は街中にどこにでもあり、回収もかなり頻繁に行われているという地道な努力によるところもあると思う。また、歩道やなど、公共物に対しても作り直すなど、かなりの投資を行っている。夜もなかなかエキサイティングだし、また来てみたい。