世界一周(チケット)の旅 ‐ バーゼル(スイス)スイスはどこを見ても美しい。これで物価が安ければいうことなし!。

8月19日(金)

   バーゼルには家具メーカーのビトラ(Vitra)
  の工場に隣接して、ゲーリーと安藤の作品が
  あるので、ぜひ行ってみたかった。

   ケルンからバーゼルまではICEで4時間弱、
  94ユーロ。乗り心地も車内騒音も、新幹線より
  上だと思う。フロアの鉄板が3倍位厚い感じ。

   南下するにしたがって、車窓からの景色も
  だんだん日本に似てきたような気がした。






   でも、席の予約をするのを忘れてた...。荷物を
  持って、席を探すのは大変なので、対した金額
  でもないし、
席は予約することを強くお勧め
  します。
   気がつけば、たまたま先頭車両に乗っていた。
   運転士は背後から見られていて、落ち着か
  ないのでは??






   昼過ぎにバーゼルに到着。
   街の中心である
市場広場はこんな感じ。

   事前にホテルを調べたけど、市街地だと相場
  は1泊1万円以上。
   困っていたら、バーゼルのそばに、フランス領
  でセント・ルイス(フランス語の発音ではセン・ルイ)
  という街があり、そこにあるアイビスホテルが、
  なんと
42ユーロだという。もう、即予約である。






   ホテルに向かうが、路面電車とバスの路線が
  あまりよくわからなかったので、歩いてホテルに
  向かう。

   途中、スイスとフランスの国境には検問が
  あった。でも、歩行者はノー・チェックだった。
   国境を歩いて越える際は「進め!電波少年
  の気分である。







   ちなみに、センルイの街はこんな感じ。とても
  こじんまりしている。

   街中を歩いていると、「
Belfort」への案内版
  が出ていたりする。
   クルマで行けば、1時間くらいらしい。時間が
  あれば、ロンシャンの教会にまた行ってみよう
  かな...。






   迷ったので、結局7キロ位いてホテルに到着。
  ホテル自体は新しく、室内もいつもの
アイビス
  といった感じ。

   問題は、コインランドリーがホテルの外にも中
  にもなく、駅までは歩いて20分、電車は30分〜
  1時間おきなど、いろいろあるけど目をつぶること
  にした。







   1人でスイス料理を堪能するほど精神的に余裕も
  なければ、周りにスイス料理店もない。

   仕方ないので、ピザハウスに入り、サラダとピザ
  を注文。あまり期待していなかったので、そこそこ
  満足できた。






8月20日(土)

   この日はまずビトラ社に向かうことにした。
   ホテルを9時に出てみると、駅に着いた
  のは9時15分。次の電車は…なんと10時
  過ぎ!
   バーゼル駅から路面電車で街の中心地
  にでて、そこから55番のバスに乗れば、
  あとはビトラというバス停で降りるだけ。バス
  停の名前が車内に表示されるので、間違える
  心配はない。





   バスがビトラ社に近づいた時、目が点に
  なった。なんと普通の街道のすぐ脇の草原に
  サクもなく、いきなり安藤とゲーリーの作品が
  本当に真近に見えてくるではないか!!
   思わず、バスから飛び降りたい心境になった。

   街道から工場に向かう小道にはイームズ
  名前が。








   フランク・O・ゲーリーの設計による、デザイン
  
ミュージアムでは、通常の椅子の展示ではなく、
  
Gaetano Pesce の展示が行われていた。
  作品とともに展示もかなり前衛的で、通常の
  展示は見たことがないけど、こちらのほうが、
  ゲーリーの空間にマッチしているのではないか
  と感じた(残念ながら、内部は撮影禁止)。








   裏から見ると、こんな感じ。とても、ゲーリー
  らしいと思う。











   入場料は見学ツアーをあわせて12ユーロ。
  なのに、受付のお姉さんが10ユーロだという。
  大人1人だから12ユーロだよと、ちょっと強く
  いったら、「
あら、学生かと思った!」とのこと。
  ということは
25才以下に見えたということ!
  そりゃあんまりだ。学生証も見せてないのに…。
  3年前にリヨン駅て切符を買ったとき以来だな。
  ヒゲをイメチェンしたからかな。

   写真がちょっとニヤついているのはそのせい。





   
ガイドツアーは12時と14時の1日2回。
   写真はそのツアーの参加者が付ける
  ワッペンだけど、着ていた服には付かなくて、
  すぐ剥がれてしまう。

   仕方ないので、時計に貼り付けていた。







   ツアーは期待していたより楽しい楽しい!!

   いきなり、工場の敷地内に入り、フラー
  テントを見学。
   写真に写っているのは、非難用のハシゴ、と
  いうより通路かな?可動式です。

   この先に見えるのが、今は使われていない
  
消防施設






   この建物の設計はザハ・ハディッドという
  アラブの女性。彼女がコンペで勝ち取った案を
  忠実に実現化したという。








  

  

 後に見学する安藤の作品とは全く異なり、全ての空間が長方体ではなく、動きがある。それが、本当に細部にいたるまで、徹底的に行われているので、凄いを通り越して呆れるくらい。


  

 2階の事務所はこんな感じ(上の写真)。ここまで直方体のない空間は、実は落ち着かないかも。


   トイレですら、これだけ傾いている。

   でも、便器は普通だった...。











   現在使われてない、消防車置場には棚が
  あり、展示に適している椅子が
100点!
  時系列順に展示されている。
   ガイドの女性がざっくりではあるが、ほぼ
  全点のデザイナーと名前などの説明をして
  くれる。家具に興味がない、一部の見学者を
  除くほとんどの見学者は興味深く彼女の説明
  を聴き入っていた(注:撮影禁止です)。






   その後は安藤忠雄設計の
セミナーハウス
  の見学。この時点で、既に予定の1時間を
  過ぎている。











   セミナーハウスまでは草原に直線的に作ら
  れた順路に沿って進まなければいけない。
   ちょっと変だなと思っていたら、その小道は
  安藤の作品までの参道だったのだ。










   コンクリートを打っている時にちょうど桜が
  咲いていたらしく、安藤忠雄が桜の葉を
  壁に貼り付けたらしい。

   入口は意図的だと思うが、自然光も入らない
  くらい、かなり暗くしている。教会へのアプローチ
  と同じかな。







   内部は全く奇異のない空間だったけど、唯一、
  挙げれば、かなり埋もれたエレベーション。一階に
  立っていると、アイポイントがちょうど街道を走る
  自動車のルーフの高さになる(分かるかな?)。

   偶然かも知れないが、トヨタではこの高さが1番
  デザインが解りやすいポイントだといわれている。
  ビトラ社内の会議だけでなく、自動車のデザインの
  スタジオとして使ってもらいたいものである。







   先程、唯一の見所といったが、もちろん他にも
  ある。不思議というか、感心したのは、あまり建築
  などには興味がなさそうなおばちゃんたちが、
  にわかマニアとはいえ、私が写真を撮りたくなる
  ような場所に必ずいること。そして、写真撮影して
  いる...。侮れない。










   カイドが終わったのは、次のツアーが始まる
  10分前くらい。ほぼ2時間のツアーは感動に
  近い充足感。

   こんな感覚、ロビーハウスや、UNビルでは
  味わえなかった。
建築、家具に興味がある
  
人にはお勧めです






   というか、ここまでデザイナーに敬意を払う
  ビトラ社に対する企業イメージがかなり高まり、
  ここで働く従業員達が羨ましくなってきた。
   彼等も、デザイナーと同じように、それぞれが
  会社から尊重されているに違いない。

   美術館の隣にはミュージアム・ショップがあり、
  主だった作品の5分の1モデルなどが売られて
  いる。






   街の中心地に戻り、マリオ・ボッタ
国際
  
決済銀行に。恐らく人工のツートーンの大理石
  を使った外観は、これまで見た彼の作品の中で
  1番高級感があり、初めて、こんなオフィスで
  働いてみたいと思った。










   建物の背後も、スパッと円柱を切った印象で、
  見ていて心地良い。













   小雨が降り出したけど、
ベイラー財団美術館
  に向かうことにした。
   路面電車6番に乗って20分くらいで美術館に
  到着。入場料は14ユーロ。










   敷地内に入って、美術館の美しさに息を飲む。
  安藤のフォートワース美術館を思い起こさせる
  ような水面からのリフレクションを考慮した構成。
   でも、安藤の打ちっぱなしのテクスチャーに対し、
  こちらは人工と思われるタイルを使っているので、
  建物としての高級感が感じられる。







   展示内容はシュール・レアリズム系がほとんど
  なので、真面目に観ているとかなり疲れてくる。
   だけど、セザンヌやゴッホの作品も点数は
  少ないけど、見応えのある作品がいくつかある
  ので、ぜひとも入場してもらいたい。
   そしてベンチに座って近隣のとうもろこし畑や、
  ワイン畑を見ながら、ゆっくりした時間を過ごして
  ほしい。





  


8月21日(日)


   この日は朝から雨。といっても、土砂降りでは
  ないけど、重苦しい雲が「晴れの日連続記録」が
  途切れたことを確信するくらい、空全体に広がって
  いた。
   もっとも、バーゼルに来てからは、ずっと曇り
  がちだったけどね。

   天気がよければ、ロンシャンの教会へ行こう
  かと考えていたけど、天気予報によれば、この
  日はフランス、スイス全土で
。特にこのエリア
  は雷マークまでついているから仕方ない。洗濯
  することにした。






   電車に乗り、国境を越え、パスポート・
  コントールでは(スイスはEC加盟国では
  ない)、「
スイスには洗濯に来た」と説明
  したら、変な顔をされた。トラムに乗って、
  観光案内所で教えてもらったコインラン
  ドリーに着いたら、この日は日曜日なので
  休み...。
   スーパーマーケットを含めて、ほとんど
  のお店がお休み...。





   やることもないので、洗濯物を持って大聖堂
  に向かった。
   大聖堂に近づくと、カラフルな衣料・生地を
  売っている屋台が多数現れた。

   どうやら、イベントが行われているようである。








   カレーの屋台がかなり出ていたので、インド
  の催し物だと思ったけど、今考えれば、バリ島
  の催し物だったと思う。
   ナンも焼いてなかったしね。










   教会に到着。規模は大きくないけど、外観は
  まとまっていて、バランスが良い。屋根の上の
  パターンはウイーンの大聖堂を思い出させる。













   しかし、中に入った瞬間に体が固まってしまった
  綺麗なのである。教会なので、全体的に薄暗いけど、
  ダウンライトで祭壇の部分を浮かび上がるような演出
  をしていて、息を飲むくらいに美しい。

   また、使われている照明のシェードのデザインも
  可愛いし、そのルビー色は教会内にほのかな温かみ
  を与えている。








   思い出したように後ろを振り返ると、今度は
  大声を出したくなった。パイプオルガンのパイプ
  が冷たく光るその奥では、濃いブルー
  ステンドグラスが輝くようにその存在を主張して
  いる。









   厳粛な雰囲気の中、見学者は静かに席に座って祭壇
  方向を見ている。ゆっくりとした時が流れていた。

   光りと彩りの教会。自分がこれまで見た中世の教会
  の
ベスト5に入る位に気に入った。こんな意外な発見が
  あるから、建築の旅はやめられないんだよね。











   バーゼル中央駅そばに移動し、小雨降る中
国際決済
  銀行の本館
を見上げる。日本で見た建築マップには
  載っていなかったけど、なかなかのデキだと思う。

   上部のタワーの部分からなだらかに下部のベース
  部分に繋がる。一方、ベース部分は二次元的に平面
  方向で変化を見せることにより、ダイナミックな印象と
  視覚的な安定感を醸し出している。








   ケルンでも見たけど、この地方では、かなり
  高めのビルでも、ブラインドは窓の外に付け
  られている。強風の時とか、
   掃除とか問題はないのかな?









8月22日(月)

 昨日、ほとんどのお店がしまっていたお陰で、逆に食べ過ぎ、飲み過ぎ、夜更かしをしてしまった...。お陰で、頭と胃は痛いし、体はだるい。
 結局、朝起きたのは
9時過ぎ。駅に着いたのは10時過ぎ。次の電車は11時過ぎ!昨日行ったラウンドリーで洗濯したら、バーゼルを出るのが2時過ぎ!になってしまった。

   セン・ルイ駅前で古い
ルノー・エスパス
  発見。このクルマがなければ、日本や米国
  においてのミニバン/1ボックス・カー・ブーム
  もなかったかもしれない。








 バーゼルの物価は高かったけど(といっても、ロンドンほどではないけどネ)、古い町並みがきれいで、歩いていて心地よい。寒いのが気になるけど、可能なら住んで見たいと思えるような街でした。

スイス・アルプスのレポートに飛ぶ

ツアーインデックスに戻る