世界一周(チケット)の旅 ‐ アンダルシアビルバオからは「死のロード」といっても良いくらいの、無茶苦茶のスケジュール!!
9月11日(日)
たまたま、これまでフィレンツェやベローナ、
ビルバオで無茶な日程でも上手くいっていた。
そのためか、この日から暫くは信じられない
くらいハードなスケジュールが続いた。
この日はスペイン最北端に近いビルバオ
から最南端に近いセビリヤへの移動。
まずはコンチネンタル・オート社のバスで
マドリッドに向かう。24ユーロ。
ビルバオのバスターミナルを10時に出発して、
マドリッドには2時半過ぎに到着。
すぐに鉄道の駅に向かおうと思っていたら、
地下にあるバスターミナルに入る直前にとても
ユニークな建物を発見!予定外のガサイレを
敢行。
名前はTorres Blancas というようだ。
外観があまりにも痛んでいるし、正面の
門が締まっていたので、誰も住んでいない
のかと思った。
しかし、住人と思われる人達が引っ切り
無しに出入りしているので、まだまだ現役
のようだ。
室内も面白そう...。
マドリッドからセビリヤまではAVEで
2時間半。料金は意外に高く、67ユーロ。
このAVEは空を飛ぶ飛行機よりも乗り心地
が良く、最新型のエレベーターのよう。
遮音は徹底しているし、不愉快な揺れは
ほとんどない。世界一の乗り心地かも知れ
ない。TGVやタリスと同じだとは思うけどネ。
イタリアやスペインの昔のフレスコ画や宗教
画を見るたび、空と雲が日本では考えられ
ないような距離感、存在感で描かれていると
感じていた。
でも、この日に見た空と雲はまさにそこに
描かれていたもの。やはり、乾燥している
ためだろうか、こんな空と雲を見たことがない。
セビリアの駅からホテルまで歩いたら、完全に
道に迷ってしまった...。
マカレナ教会の前を通ったので、見学することに
した。
アンダルシア地方の祭壇はとても霊的
で、かつ荘厳である。馴染みのない私には
ちょっと恐怖心のようなものを感じてしまう。
ミサの中、邪魔にならないように見学した
けど、ほとんど腰が引けた状態だった...。
マカレナ教会の先に変わった橋が
掛かっていたので、行ってみた。
名前はバルケタ橋というようだ。
基本的には無機的なデザインだけど、
実際に橋を渡ってみると、巨大な動物の
股間を通っているように感じてしまう。
私だけ...?
ふと川面に目をやると、はるか向こうに
隣の橋があり、その形状はこのバルケタ
橋より奇異である。
もしかして、あの形状はカラトラバ??
もう夕暮れなのに、チェック・インもして
いないので、後日確認することにした。
セビリアで泊まったのはホテル・カソナ・デ・
サン・アンドレス。旧市街にあり、路地が迷路
のようになっているので、事前に綿密に確認
していない限り、簡単には見つからないと思う。
1泊40ユーロ。
入り口を入ると、大きな吹き抜けになって
いて、フロント用の大きな机が置いてある。
最近改装したのか、床の大理石がとても
美しい。
とてもよい気分になっていたら、案内され
た部屋は1階で、窓もなく、まるで掃除道具
置き場のような部屋だった...。
部屋の鍵はカードキーなんだけど、その
カードを挿入しないと室内灯がつかないので、
部屋に帰ってくると、いつも真っ暗。気分が
暗くなった。
9月12日(月)
まずはカテドラルに向かう。写真は
ヒラルダの塔。
ちなみに、朝早かったためか、入場は
月曜日なのに無料だった。
「地球の歩き方」によれば、「後世の
人々が我々を正気の沙汰ではないと
思うほど巨大な聖堂を建てよう」という
ことで建てられたという。
しかし、建物のでかさや高さだけでなく、
いろいろ見応えがあった。
建物の各所に配置された彫刻は、今に
でも動いたり、喋りだしそうなくらいリアル。
上の右側の写真は内陣だけど、祭壇はとても大きくて、天に届きそうなくらい。木像に金箔を貼っているらしいけど、それにしても呆れるくらいの迫力。
上の左と真ん中の写真は、内陣の奥にある
王室礼拝堂。天井(クーポラ?)の真ん中が
あいている。
左の写真の下のほうに映っている人のサイズ
が分かるかな?とっても荘厳な空間だった。
その後、アルカサルに行ってみたけど、
月曜日は休館日で入れなかった...。
スペイン広場に行く途中、ふと気が
つくと呆れるくらい「あまーい」感じの
路地を歩いていた。
このあたりが、日本とアンダルシアの
町並みが根本的に大きく違うところなん
だな!
スペイン広場に到着。巨大な半円形の
広場に沿って建物が建っている。
両端には写真のように塔が建ち、全体的
に左右対称な構成となっている。
建てられたのは、意外に新しく、1929年
とのこと。
内装は基本的にタイル張り
広場を囲む建物のアーチ下にも、スペイン
の各都市を紹介する、タイルによるベンチが
並んでいる。
次に、ピラトの家に向かう。ちょっと迷ったけど、
なんとか到着。2階も見学したので、8ユーロ。
屋外は日差しが強く、立っているのも辛いけど、
室内は風が通り、とても涼しい。庭の緑が視覚的
にも涼しく感じる。時間があれば、1時間くらい昼寝
をしたくなるような、のんびりで居心地のよい空間
だった。
セビリア万博跡地にカラトラバが設計した
パビリオン(クェート館)があるらしい。
どうしても、見たかったので、行ってみて、
いろいろな人に聞いたけど、結局、関係者
以外立入禁止で、見えないとのことだった...。
凹みながら跡地を歩いていると、どこかで
見たことがあるような建物が現れた...。
よくよく見ると、マコヴェッツの作品のようだ。
建築雑誌では見たことがあったけど、未だに
建物として実在しているとは思わなかった。
彼の作品はブタペストで見て以来である。
本当に、捨てる神あれば、拾う神ありである。
また、カラトラバとマコヴェッツは、ともに脊椎を
意識している建築家というのは偶然の一致かな。
パビリオン自体は、省エネが図れる電気製品
を展示していたようだ。
屋根の部分は、ラバーのような素材で
覆われているのかと思っていたけど、
損傷したため、地面に転がっていた破片
を見てみると、スレートのような石、天然
素材だったので、これまたビックリ。
現在、パビリオン内部を見ることはできな
そうだけど、カフェテリアは営業しているので、
内部の見学も可能。
気の良いマスターが、上にも上がって良い
よと言ってくれたので、2階まで上がり、
マコベッツの世界を堪能。
左の写真が2階に行く階段。いかにも手造り
といった感じ。
下の左側の写真は2階席。写真では分かり
づらいけど、左上方に建物の背骨の部分を
裏側から見ることができる。
真ん中の丸いテーブルの中央部にはガラス
がはめ込まれていて...
1階から見上げると、2階のテーブル
に置かれたものが見える。もちろん、
2階からも1階席を見ることができる。
カフェテリア部分の外観は、こんな感じ。
なんともまあ、ユニークというか、自由
奔放というか...。
ただ、窓などは切り込みを入れるように
見切りが決められているけど、残された
部分(面)も美しいし、全体的に見ても
バランスが取れている。隙がないし、緊張
感があるのは流石!!
マコヴェッツの建物の横にも、比較的
程度のよい建物が残されていた。
万博跡地を徘徊する建築マニアは、
まるでプラモデルファンが田舎のおもちゃ
屋にいるようである...。
他にもいろいろなパビリオンが残っていた
けど、凄い量なので、紹介しきれない。
一方、一部の建物は解体作業中だったので、
見に行くなら、今がラスト・チャンスかもしれ
ない!
万博開催時に使われていた鉄道の駅...。
テントはもうボロボロ。
なんだか、今なら映画で使われそうな
雰囲気。
線路はどこに向かっているのか...。
昨日の橋は、やっぱりカラトラバの
アラミージョ橋だった。セビリア万博
会場からは歩いてもすぐ。
支柱の高さは158m、58度に傾いて
いるという。
車道の真ん中に歩道があるのがわから
なかったので、車道をビクビクしながら
渡った。
炎天下を散々歩き回ったので、ほとんど
脱水状態。そばにあったバールに入る。
まずはビール。ツマミはバジャドリッド
で食べられなかったオイル・サーディン。
日本で缶詰を食べたときのような臭み
は感じられず、美味!
2杯目のビールは生ハムで。イベリコ豚
のようだったけど、かなり固かった。
セビリヤで音楽といえば...フラメンコでしょ。
売店でチケットが定価30ユーロのところを25
ユーロだというので購入し、会場へ。日本人の
団体観光客もたくさん来ていた。
ステージが男性のダンサーで始まって、
ちょっとビックリ。 ダンサーの耽美の世界に
言葉を失い、思わず感涙...。オレッ!
最高に楽しかった!!
ステージが終わって外に出てみると、まだ
明るい。
晩飯は、昨日見つけたメキシコ料理店に
いってみたけどイマイチだった。
もう9時だというのに、公園で子供が親と
遊んでいるのを見て、カルチャーショック
を覚えた。
ホテルへの帰り道、バルケタ橋に近い
ところでなんとカラトラバ通りを発見!!
経緯は分からないけど、カラトラバを
知っている人にはビックリのネーミング。
長い一日だった...。
9月13日(火)
この日はコルドバに移動する予定だった
けど、コイン・ランドリーに洗濯物を預け、
出発前に前日に入れなかったアルカサル
に行ってみた。
感想は...?うーん、まあまあかな?
セビリアからコルドバへはAVEで40分、
21ユーロ。
泊まったのはホテル・アンダルシア・
グラダナ。1泊47ユーロ。もちろん、
シャワー、トイレはついているけど、部屋は
古めなので、ちょっと高いと思う。
バジャドリッドで友人と話して、急遽モロッコ
に行くことにしたので、コルドバでは1泊しか
できない。
だから、ホテルでゆっくりなんてしていられ
ない。街に出て、観光開始!
写真はユダヤ人街。白壁の街並みは、
強い日差しの下では涼しげである。
上の写真の場所のすぐ先にあるレストラン
に入り、昼食をいただく。
しかし、写真を見てもなにを食べたか思い
出せない。多分、そんなに美味くも、不味くも
なかったためだと思う...。
昼食を終えたらメスキータへ。ここは
最初にモスクとして建てられ、その後、
再征服したカトリック教徒によってカテド
ラルとして改装されたためもあり、イスラム
教とキリスト教の両方の祭壇がある珍しい
建物。
白い石と赤レンガのアーチを見ていると、
アマンドを思い出してしまうのは私だけ??
円形のステンドグラス越しに光が床に射し
ている。一方、お祈りをする時間が床に書いて
あるので、太陽の動きに合わせ、日時計のよう
にお祈りをする時間が分かるようになっている
らしい。
クエンカのカテドラルを思い出させる鮮やかさ
である。
メスキータは本当に見応えがある。グラダナ
にいったなら、是非行ってみてほしい。
その後、アルカサルに行ってみたら、既に
閉まっていた。仕方ないので、ローマ橋に
行ってみた。その先にあるのがカラオーラ
の塔。
9月14日(水)
グラダナに移動する前に、アルカサルを
見学。特に驚くようなところはないけど、朝の
散歩ついでだったら丁度よい感じ。
庭園には池があったけど、どこかスカルパ
の世界のよう。
スカルパ、あんたパクッタね!!
建物の中には不思議な量感をもつアーチ
がいくつも重なるように設けられている。
この空間、なんか落ち着くんだな。ダシ巻き
を連想しているからかな?それとも、スイス・
ロール?、蒲鉾?
どっちにしても、食べ物か...。
コルトバからグラダナに移動。電車だと
えらく時間が掛かるのでバスで行くことに。
11ユーロ。グラダナには3時に到着。
写真は途中通り過ぎた街。名前は分から
ない。
ホテルを予約した後、グラダナの一番の
見所、アルハンブラ宮殿の入場予約をウエブ
で試みるが、翌日の分はもうないようだ...。
ホスタル・アテネはロケーションも良く、
シャワーも付いて25.55ユーロ!テレビの
リモコンはなく、チャンネルを変えるボタンは
ないけど気にしない。どうせ、なにをいって
いるのか分からないんだから。
窓もないも同然だけど、我慢我慢…。どうせ、
ほとんど部屋にはいないんだから…。
アルハンブラ宮殿の入場券の当日分は昼
過ぎでなくなってしまうと聞いているので、取り
あえず現地に行ってみることにした。
宮殿に行く前にヌエバ広場でケバブを食べ
たら、美味い、美味い。薄い生地で包むので、
ビルバオで食べたものよりは、恐らく一般的
なのだと思うけど、皮をパリパリに焼いてくれる
ので、ジューシーな肉と、野菜のシャキシャキ
感と合い、味のハーモニーが広がる。
宮殿のチケット売場で「明日のチケットは入手可能なのか?」と聞くと、明日の早朝にくれば入手できるだろうという。しかし、夜の10時からの夜の部でも宮殿の中を見られるというので、そちらにすることにした。明日、万が一朝寝坊したら、予定は台無しだし、夜は夜なりの良さがあるはずだしネ...。
それまで時間があるので、王室礼拝堂と
カテドラルを見学。実際は、この2つの建物は
引っ付いているので、1つの建物と見て良いと
思うのだけど、入場料はそれぞれ3ユーロ。
地球の歩き方では礼拝堂が★3つ、カテドラル
が★2つとなっているけど、個人的には評価が
逆。カテドラルはモスクがベースになっている
ので、とにかくデカイ。ちょっと持て余している感
も無きにしもあらずだけど、一対のパイプオルガン
などは圧倒されるくらい巨大だった。
バルでタパスを摘んだ後、宮殿には8時頃
到着。それからチケット販売開始の9時半まで
は、ベンチに座って時の過ぎるのを待ったけど、
そんなに早く来る必要はないようである。
9時半になり、チケットを購入し、宮殿内へ。
てっきり、カクテル照明並の明るい空間が
広がっているのかと思ったら、真っ暗...。
前に歩いている人について宮殿内を歩くけど、
暗くて怖いくらい。仮に、見学者が自分一人
だったら、途中でリタイヤしていたかもしれない。
王宮はチケットに書いてある時間にならないと
入れてくれない。結局、10時5分前に入場。中に
入ってみると...中もまっくらだった...。
なんだか良く分からないまま順路を進むと、
気がつけば王宮の出口ヘ。 まだ見足りない
ので、戻ろうとすると、係員に止められる。
昼間なら、10ユーロで王宮、アルカサバ、
ヘネラリフェの三箇所に入れるのに、夜の部
は同じ値段で王宮のみ...。
夜の部は全くお奨めでない!!
9月15日(木)
朝起きると、流石に胃が重い。昨晩は夜遅く
中華料理を腹一杯食べたからかな。それとも、
その後、飲み過ぎたせいかな。
ホテルを8時に出て、グラダナ9時発のバス
でアルヘシラスに向かう。恐らく200キロ以上
あるのに、18.20ユーロとは、本当に安いと思う。
とくに風光明媚なところもなく、1時前に到着。
良く分からないままフェリーのチケットを買い、
乗船。33ユーロ。
船で国境を越えるのは初めてだと気が付く。
タンジェまでは意外に近く、3時間だという。
英国領ジブラルタルが見える。
メキシコ・シティーはエネルギー溢れる街だった。ちょっと、その溢れるエネルギーをどう使っていいのか分からず、空回りしている部分はあったけど。
一方、アンダルシアはそのエネルギーが人、街から感じられない。街が19世紀から眠っているようである。まだ、マドリッドやバルセロナのほうが街に活気があった。
もしかしたら、アンダルシアに来る日本人は寝るために来ているのかもしれない。ここなら、うるさい上司、マスコミ、ビックカメラやマツキヨはないしね。邪魔者はいない。
僕はその辺あまり気にしないので、セビリアはエキサイティングだったけど、アンダルシアとしては今ひとつだった。