ガサイレ in ヨーロッパ 3
★★:普通です ★★★:覚えておいてください ★★★★:お奨めです ★★★★★:借金しても行くべきです
9月22日(日): さあ、バルセロナを出発!でも、とっても名残惜しい。もう、ここに住んじゃおうかなあ...!?
昨晩、ホテルのお兄さんと話したのだが、やはりバルセロナは
深夜より早朝のほうが治安が悪いらしい。仕方ないので、タクシー
を呼んでもらったら、ベンツの新型Eクラス。ちょっとついてる?
今日はフィゲラスにあるダリ美術館に行った後、リヨンまで行く
予定なので、できるだけ早く出発しようと思って、夜が明ける前の
6時前にバロセロナ・サンツ駅に到着。しかし、時刻表に載っている
列車は今日は来ないという...?意味はよく分からないのだけれど、
結局、出発まで2時間待ちの、8時20分となってしまった。これ
なら、タクシーを使う必要がなかった...。
外見とは違い、室内はモダンなデザイン、というか、今となっては
古臭さを感じてしまう。
なんともコメントしづらい...。はやく出発しないかなあ...。
電車に揺られて約2時間と20分。10分遅れでフィゲラスに到着。
一部の人にしか分かってもらえないとは思うけど、オーストラリア・
メルボルンからダンデノン・ラインに乗ってローカル駅に降りた時と同じ
印象。ちょっと大味な場末感。分かってもらえないだろうなあ...。
ちなみに、フィゲラスは地中海に近く、フランス国境にも近い町で、
ダリの生地かつ終焉の地である。
駅からは徒歩で約10分でダリ美術館に到着した。特に案内板とか
はないけれど、普通に地図を読める人ならば、「地球の歩き方」を
持参すれば問題ないだろう。
この建物を見た瞬間、本日1回目の鳥肌が立った。本当に「ダリ
美術館」に来てしまった。
本日2回目の鳥肌。美術館入り口の真上には、潜水服の人が
立っている。写真でも分かるように、晴れていたのがより一層雰囲
気を盛り上げてくれる。潜水服の人のシュールさを一層強調する。
そうそう、ここは美術館としては珍しく、写真撮影可能であるが、
周りの人に気遣ってか、ストロボ禁止である。まさに納得できる判断
基準である。
窓口で料金を支払って、まず最初に目に入るのが、最初に展示されている
パッカード。これに完全に持っていかれてしまった。最初は、ボンネット・フード
載っている、女神のような造形物に目が奪われた。しかし、まわりにいる人が
料金箱にコインを入れるたびに、周囲にオペラが流れる...。
社内を見てみると、運転席には若い男性(のマネキン)が座って
いる、そしてBGMが流れるたびに、まるで豪雨の中走行し、雨漏れ
をしているような感じでシャワーのような水が彼に浴びせられる。
そして後席には...。
写真では分かりづらいが、老紳士と若い女性が観葉植物の中、
座っている。もちろん、BGMが流れるたびに、この2人にもシャワー
がかかる。
これはどう観ればよいのか。私は、幼い頃裕福な家庭に育った老
紳士が、革命とかでそのポジションを失い、この古いパッカードと幾
ばくの財産とともに放り出されたと観た。隣に座っているのは、孫娘
か、それとも残されたお金で同伴してもらっているのか...。
この時に頭に浮かんだのが、「傷だらけの天使」の岸田
今日子。
シュールとは一つの表現方法ではなくて、その人の明確な価値観
が周りの人に理解されない時に、それを見た人が「シュール」という
言葉を使い、あたかもその意図しているところを理解した気になるの
であろう。
そうであれば、その人がある意味尊敬され、かつ上品でなければ、
単に変わり者として蔑まれてしまうだけだろう。下品なシュールは
漫画の粋を超えられない。シュールはとても孤高なのであろう。
老紳士の出が旧家か、財閥かと考えた理由でもある。
言い方を換えると、シュールとは本人と周りの人との埋めきれ
ない距離感なのである。西欧人が東洋文化を理解しようとして理解
できない時に使うジャポネスクやオリエンタルという言葉を使うのと
あまり変わらないのかもしれない。
(写真)柔らかい時計もタペストリーで観られる
藤村俊二とか、大泉滉とかダリの雰囲気を狙っているタレントも多いが、その
是非は別として、周りに「シュールな奴」といわれるのは、ある意味、誉め言葉かも
しれない。
いろいろ展示物を観ている時、誰かに見られているような気がした。恐らく私の
勘違いだとは思うが、ダリがどこかで我々観客が彼の作品を観て驚いているところ
を見て、押し殺したように笑っているような気がした。彼の魂は、この町にあるのかも
しれない。
基本的に「シュール」とは冷たい印象があるが、ここに来てみて気が付いたのは、
彼の作品はとても優しいことである。博物館を出るときは、不思議と心暖まるような
気がしたのである。
来て良かったと、つくづくそう感じた。★★★★★!
美術館を出て駅で時刻表を見てみると、日本で買ったトーマス・
クックの時刻表とは大きく異なり、、待ち時間が1時間以上ある。 そこで、そばにあるデリに入り、カウンターに座る。もう、日本人
だからとか、言葉が通じないとかは全く気にならなくなっていた。
気分が良いので、昼間からビールにソーセージ、ホタルイカ(?)、
ミートボールでスタート!
でもすぐに完食してしまったので、追加注文。ビールもお代わり。
そして、すぐに完食。
チェックをすると、16ユーロ(約2,000円)だった...。
フランスの国境の地、セルベールには地中海沿いを約30分
走って到着。ここでまたまたトラブル。トーマス・クックの時刻表が
また違っていたようで、予定では1時間45分の待ち合わせかと
思ったら、さらに45分追加の2時間30分。日本で最新の時刻表を
窓口の人に見せたが、そんな列車はないといわれてしまった...。
この時刻表は全く使い物にならない!
駅の周囲は想像していたよりもなにもなく、唯一あるのがジュース
の自販機だけ。これじゃあ、30分だってつぶせないよ...。
待ちに待ったストラスブルグ行きの列車が来た時には、あまりにも
汚すぎて力が抜けそうになってしまった。
と思ったら、中は外見よりはきれいだった。分厚いあんこにゆったり
とした座り心地のシートは、10年くらい前のフランス車を思い出して
しまった。乗り心地も、車軸幅(トレッド)が日本より広いせいか、走行
中は120kmくらいは出ているようだが、意外と不愉快になるような
揺れも少ないし、気になるノイズも少ない。この辺りが、大陸文化と
いうか、日本の技術者が努力してもなかなか追いつかない、または
想像が及ばないところなのだろうか。
日本の列車などはダンパーが効いていないようで、一度揺れたら、
いつまでも揺れが取れず、非常に不愉快である。なんとかならないの
かなあ...。
列車が動き出してしばらくすると、進行方向左側に湖が広がる。
線路のすぐそばまで来ており、右側もすぐに地中海なので、まるで
浜名湖の周辺を走っているような感じである。びっくりしたことに、
この湖はなかなかなくならない。地図では10kmくらいの大きさで
書かれているが、感覚的には50kmくらいあったように感じた。
ちなみにセルベールからリヨンまでの運賃は46.70ユーロ。
だいたい6,000円。本当はTGVを使いたかったのだけど、職員によれ
ば、ないとのことだった...?
リヨンには確か10時くらいに到着したと記憶している。街に出ると、
寒い!とりあえず、ホテルを探すことにするが、ちょっと歩いてみると、
ホテル・アイビス(イービス?)を発見。なんと1泊49ユーロだった。
安普請のマンションのような部屋であったが、清潔で満足。ベッドも
ダブルで広々。★★★★★のお奨めである。
9月23日(月): さあ、今日からはコルビュジュの日々が始まる。聖地に向かう信者のような気がしてきた。
さあ、今日はラ・トゥーレットの修道院を見学である。朝早く、気温が
低いこともあり、街中を歩いているだけで、気がしまってくる。スペイン
の日々とは全く異なる。
リヨンの路面電車は、まるでイルカのようなデザイン。かなり具象的
なデザイン。サンフランシスコやメルボルンのように、古典的なデザイン
にとらわれないのは歴史のあるフランスの余裕?
路線図などの案内板やチケットの購入方法などはとても適切に説明
されているのでフランスが全く分からない人でも戸惑うことはない。
室内は窓が大きいため、とてもルーミー。床の色が明るいので、
逆に少し落ち着かないかも。写真右下の機械にチケットを通す。
乗り心地は悪くない。
Lyon‐Perrache駅の切符売り場にて。英語がしゃべれる職員の窓口には
「I Speak English」という表示がある。この辺りも、フランスならではだと思う。
これをネタにして、CFやパロディをやりたくなってくる。
またまた、次の電車まで1時間以上あるようだ。仕方ないので駅をブラブラ、
街をブラブラしていた。日本では知られていないが、どうやらL'Arbresle にいく
列車の半分がLyon‐Dort Diew 駅をとまるようである。知っていたら、1時間
以上早く修道院に到着していたかもしれない...。
TERと側面に書いてあるが、恐らく近郊列車と思われる。色使い
含めた、この辺りのデザイン処理はさすがで、いまだに日本が追い
つけないところである。
“速報”にも書いたけれど、リヨン駅のコインロッカーは貸し金並みの
安全性がある。ホテルをチェック・アウトしてからラ・トゥーレットの修道
院を見に行く人は、ここで荷物を預けることをお奨めする。営業時間も
6:30〜21:30と、とても便利である。
バルセロナでも同じようなことがあったけど、今思えばとても残念
なのが、せっかく来たのに、ジャン・ヌーヴェルのオペラハウスや
カラトラヴァのサトラス駅を観て来なかったこと。
人生、そんなに何度もリオンを訪れる機会もないから、一層悔しい。
リヨン、ここは遠藤周作の街でもあったので、本当はもう少しゆっくり
したかった。
待ちに待った列車に乗って約40分でL'Arbresle に到着。残念なことに
小雨が降り続いている。傘をさして、息を切らす位にきつい坂を30分弱あるく
と、ラ・トゥーレットの修道院が現れた。
小雨の中、まずは外観を見るために遠巻きに一回りしていたが、一周し
終わったくらいのタイミングで晴れてきた!やっぱり空が青い方がコルビュジェ
が映えると確信した。
意外だったのが、私が見学している際に、他の見学者と一度も会わなかった
こと。日本においての彼の評価を考えると、ちょっと信じられない。
正直にいって、私にはコルビュジェの他の作品と比べてこの修道院
が同等に扱われるのが分からない。この後、サボア邸やロンシャン
の教会にいったが、今でもこの作品の意義がよくわかっていない。
ちなみに、この修道院はサボア邸やロンシャンの教会より後に
建てられている。
安藤忠雄は礼拝堂に至る廊下を賛美する。実際に自分で歩いてみて、その
意味合いは十分に理解したつもりである。しかし、上記2つの作品と比較すると、
私はこの建物を「美しい」とは感じないのである(廊下の先が礼拝堂)。
結局、コルビュジェはこの修道院でレイアウトの新しさを提案し、それが評価
されたということだと理解した。建築マニア暦1ヶ月の私には分かりづらい作品で
ある。そういう意味合いで、ここに来るまでのアクセスも考慮して、お奨め度は
★★★+ くらいだろうか。専門家、または上級建築マニア向けだと思う。
こんなことは、作品としてはどうでもよいことかも知れないけど、
コンクリートで打ちっぱなしの表面品質が安藤の作品とは比べられ
ないくらいに低いのを発見。比較的大きな砂利がはっきり見える
くらいである。
まあ、見ようによっては、大理石張りの壁などに見られる化石の
ようにも見えるかな?
この辺りの造形処理は意外と知られていないと思うので、載っけて
みます。微妙なカーブを描くピロティ?の造形処理は、はっきりいって
外観の全体的な造形テーストとは合っていないと思う。まあ、彼なり
の遊びかな?
礼拝堂に入った瞬間に、頭から足へと冷気のようなものが走った。
礼拝堂自体はとてもストイックな空間である。シンメトリーに配置され
た席の背後には、黄、赤、緑に着色された窓がある。ロンシャンの
教会での採光窓の処理を大幅に簡素化、記号化したと思われる。
ストイックな礼拝堂の奥では、光の魔術師・コルビュジェによる光のシャワー・
ルームが華を添える。しかし、この部分の宗教的な意味合い(目的)はわからな
かった。
ところで、今、TVで六本木ヒルズ特集をやっている。番組の中で森ビルの
社長である森 稔が、彼らがいうところの再開発前の住宅環境をバラックと
称していた...。森 稔、お前は何様だ!思い上がるのもいい加減にしろ!
確かに、再開発前は消防車も走れないような住宅環境だったことを考慮すれば、
災害対策という意味では十分に評価すべきであろう。
しかし、戦後・高度成長期前の食べ物も十分にない時代ならともかく、今の
時代に彼のようなポジションの人がいう言葉ではない。完全に上から下を見
下している。逆の意味で育ちがわかる発言である。恐らく、彼は器量のよくない
男/女性を見て、「再開発しなさい!」といってお金を渡すのだろう。
また、コメンティターが彼の意見を肯定するようなことをいっていたのが、より
一層残念である。もう、EZ TV見るのはやめようかなあ...。コルビュジェが
目指していた理想郷 / 都市論が、森 稔とは異なることを祈りたい。
Lyon‐Perrache駅行きは1時間以上待つことになるというので、
帰りは往きとは異なり、Lyon Gorge De Lou にいく列車に乗った。
Perrache駅にはさらに地下鉄で乗換えが必要だった。逆にいえば、
この経路も使える?
次の目的地である、Belfort(ベルフォールと呼ぶ)へ行くチケット
を買う際に、年はいくつかと聞かれた。??? と思って、なぜかと聞い
てみると、学割が適用するか、確認のためだという。そこまで若く見
えるというのも恥ずかしい。学割でない運賃は30ユーロだった。
写真は修道院の最寄駅であるL'Arbresle のホームの先にある
操車場と思われる建物。1F部分がピロティのようにも見えて、コルビ
ュジェチック?
Belfort に着いたのは、夜の10時で小雨が降っている。スイスに
近いためか、肌寒い。そして駅を少し離れたら、薄暗くなる。ホテルを
探して歩き回るが見つからない。なんども周りの人に聞いてもわから
ないので、そばにあるチェーン展開しているホテルのフロントで聞いて
みると、親切にも電話を掛けてくれた。そうしたら、なんとホテルの人
がクルマで迎えに来てくれるとのこと。救われた...。
ちなみに、ホテルの名前はARA Hotel という。インターネットで
検索して発見したホテルである。
チェックインが終わり、部屋に入ると、シャワールームは写真の通り、半畳分くらい
しかない。さすが1泊27ユーロだけのことはある。いわゆる、B&B(Bed&Breakfast)
に簡易シャワー・ルームが付いたくらいの部屋である。ホーム・ページの写真とは全く
違う!ベッドもスプリングがビヨ〜ン、ビヨ〜ンしている。
お奨めはしないけど、安いホテルをお探しなら、下記URLで行ってみてください。
とりあえず、英語は普通に通じます。
http://www.arahotel.com/
晩飯を食べていないので、先ほど散々歩き回った街に戻り、店を探す。しかし、いわ
ゆるレストランのようなものは全て閉まっていたので、しかたなく、ガラの悪いパブに
入って、ビールとピザ・トーストのようなものを食べた。あまり落ち着かなかった。という
より、ビビっていた。
腹も一杯になったので、部屋にかえって、シャワーを浴びて、すぐに寝た。