にわか建築マニア in ヨーロッパ '04さあ、最終日!元気に行きましょう!
9月26日(日)
昨晩行ったパブのオーナーの友人が
国連都市(UNO City)では新しくて変わった
建築物が凄い数でできているというので、
試しに行ってみた。
駅を降りて最初に現れたのが、レム・
コールハース的な外観を持つ、駅前の
売店のような建物。本当は誰が設計した
のだろうか?
バックには世界で3つめだというUNの
建物が映っている。
裏手から見ると、敷地や建蔽率からして
かなり効率が悪そう。
もうちょっとなんとかならなかったのかな?
それとも、隠し技があるのかな?
後ろに映っているのは、建設中のテック・
ゲート・タワー(Tech Gate Tower) だと
思われる。
アンドロメダ・タワー(Andromeda Tower)は
上記のテック・ゲート・タワーの横に建っている。
設計はWilhelm Holzbauer らしい。
NOAビルのような楕円形のシリンダーに、恐らく
エレベータや水道・電気などの従空間(Servant
Space)を外に分離する形で煉瓦色のスペースの
の中に埋め込んでいるものと思われる。
実物は写真よりもずっと美しく、圧倒されるよう
なスケール感がある。
ちょっと検索してみたら、このビルに日本の外務
省が入居しているらしい。日曜日だったので、誰も
見かけなかったが、平日なら内部も見学できるかも。
最初の売店の裏手に教会らしき建物を
発見。
見るからに銀座や六本木にあるクラブの
ようなデザインである。
鍵が開いていたので、中に入ってみると...。
おーーーっ!外観からは想像が出来ない、
とても幻想的な空間にビックリ!
しかも、室内はほとんど木製でできているので、
とても暖かい印象。硬く、冷たく、夜が似合いそう
な外観とは全く異なる。
また、今回は不法侵入なので、もちろん照明
がついていないのに内部はかなり明るい。
そして、ほとんど大きな窓などないのに、閉鎖
感どころか、不思議な開放感すら感じる。
全体的には幾何学的な形がモチーフとして
使われているが、天井にはそのテーストとは
異なるデザインの明り取り窓がある。
個人的には、合っていないと思う。
あまり目立たないが、祭壇の後ろには
十字架が掲げられている。
明るく、暖かい空間で、とても居心地が
良いが、一方で、スピリチュアルで背筋が
伸びるような凛とした感じはない。
帰国後調べると、この教会(Kirche)は
Heinz Tesar というオーストリアの建築家
による設計らしい。
アマゾン経由で写真集も入手できるようだ。
またまた、予定していなかったところで
大発見である!
UNの施設が、それもこれほど大規模なもの
がウィーンにあるとは知らなかった。
とにかく、規模が大きい。離れないと全体的
なバランスなどは分からない。
また、そのデザインもこれまで見たこともない
ようなものである。
感動する類のものではないが、そのスケール
に圧倒される。
UNのH.Pから写真を拝借。こちらのほう
が、全体的なイメージが沸くのではないか
と思う。
日曜日の早朝だったので、中には入れ
ないような感じだったが、平日なら入れる
のか確認していない。
設計はJohann Staber。
そのUNのビルの奥にはサターン・タワー
(Saturn Tower) が建っている。訪れた時間の
関係もあるかと思われるが、朝日を浴びてとても
きれいでった。
設計は Buro Hollein, Neuman & Partner。
ただ、このような幾何学的な立体が貫合する
デザインは、機能的に裏付けられているなら
ともかく、目新しさだけであったら、そろそろもう
いいかなあ、と思う。
http://www.aeiou.at/
前出したアンドロメダ・タワーとテック・
ゲート・タワーの後ろには、Hochhaus Nene
Donau というホテルが見える。
個人的にはデザイン・テーストが好きでは
ないのでそばには行かないが、ウィーンでは
かなり話題になっているようである。
設計は Harry Seidler & Associates。
あまり期待しないできたUNO Cityだったが、実際来てみて大正解!他にもいろいろな建物があったけど、この後のスケジュールがあるので、泣く泣く中心部に引き返した。
UNO City のレイアウトは下記のURLに行けば大体分かると思います。
http://www.viennadc.at/Projekte_Uebersicht.html
次に訪れたのは、ギュンター・ドメニク
(Gunther Domenig) のウィーン中央銀行。
場所はファフォリーテン(Favoriten)
という街
になるが、地下鉄で行くならReummann Platz
が最寄である。UNO-Cityからこの駅へはU1線
で乗り換えなしで行ける。
このファフォリーテンという街は、本当に下町
といった感じで、背の高いビルは全くない。
そして、都心部なのに、場末な感じがする。
東京でいえば、東麻布商店街あたりかな。
駅を降りて、商店街に沿って歩けばすぐに
みつかった。しかし、この日は商店街あげての
お祭りのようで、写真では分からないが、仮設
テントとかで、正面からはとても見れない状態。
ちなみに、入り口横のパブは営業していた。
ドメニクの世界中が注目している建物が、地元
のお祭りに勝てないなんて、建築ファンとしては
かなり残念!
訪れたときは改修工事中。でもここは銀行
だから、本来、日曜日は中が見れないはずなの
でラッキー!誰も入り口付近にいないことを
良いことに、ちょっと中に無断で入ってみた。
すると、ドメニクの世界が出迎えてくれた!
その完璧までに演出された空間の構成物の
なにを見ても心踊り、ドーパミンが体中に巡り、
平衡感覚がなくなる、といったら大げさかな?
ダクトの奥に見える手は、ドメニク自身の手を
モデルにしているという。
ただ残念なのは、全体的に荒削りというか、
作業が大胆というか、はっきりいうと、仕事が
雑で、ノリで形状が決められているようで、質感
が伴っていない。
なんといっても一番気になるのは、現在行わ
れている改修工事の内容である。かなり派手な
工事が行われていたので、オリジナルのテースト
がどこまで残されるのか心配である。
さあ、皆さん。この建物はなんだか分かり
ますか?遊園地なんかじゃありません。実は
ゴミ処理場なんです。私も実物を見た瞬間、
大笑いしてしまいました。
フンデルトヴァッサーの作品だけど、彼の
作品についてはまた後で
場所はウィーンの北西部にあたるSpittelau
駅のすぐそば。
下の写真を見て分かるとおり、トタン板に
独特なペイントを施したのだが、それが剥げ
かかっているようだ。
早く手入れをしてあげて欲しい。
近くで見ると、本当に安っぽい。小さな窓が
見えるが、これも本当の窓ではないかもしれ
ない。
確かにゴミ処理場というと、日本では無味乾燥した
建物しか思い浮かばない。
このような形で街の嫌われ者が、市民権を得て、
街に存在しているのはとても意味があることだと思う。
神奈川の大山の中腹にあるゴミ焼却施設をみる度
に複雑な気持ちがしていた。
これ程、雄雄しい山なのに、それをスポイルするゴミ
処理場。そのゴミ処理所を受け入れられなかった街の
人々。
既成概念を変えるためには、費用が掛かってもこの
ような処理を施す必要があったのかもしれない。
ゴミ処理場のすぐそばに、建設中の特異な
形状をした建物を発見。
デザイン・テーストからして、前出のドメニク
がコープ・ヒンメルブラウあたりだと思われるが、
看板にでていた www.seg.at というサイトを
見てもドイツ語なんでよくわからない。
どうやら、1090, Spittelauer Lande という
プロジェクト(Projekt) らしいが、降参である。
一度中心部に戻り、今度はウィーンの東側に
移動。この建物はゴミ処理場の設計者でもある
フンデルトヴァッサー(Hundertwasser)による、
フンデルトヴァッサー・ハウス。
なんでもこの集合住宅はウィーン市長からの
依頼によるもので、一定の収入に達していない
人のみが入居できる旨が「ヨーロッパ建築案内」
書いてあった。
古い建物なのに、とてもしっかりとした作りだと
思っていたら、なんと、建てられたのは1986年!
画家であるフンデルトヴァッサーは、直線は
非人間的であるということで、できるだけ使わ
ないようにしているという。
なんでも、彼は日本人の女性と結婚したこと
があり、日本でもいくつかプロジェクトが進行中
とのことである。扇町キッズパークの「こどもの
街」や大阪でも「舞洲ごみ焼却場」などがある
ようである。
フンデルトヴァッサー・ハウスから500m
くらい北に行ったところにクンスト・ハウス・
ウィーンがある。
フンデルトヴァッサー・ハウス同様に室内
には彼らしい空間が作られているが、先に
フンデルトヴァッサー・ハウスを見ると規模
や構成力からいっても今ひとつ。
なんといっても、入り口からして直線で構成
されているんだから、ちょっと興ざめである。
クンスト・ハウス・ウィーンから中心部に
戻る際、ノン・マークながら、かなり特異な
デザインの建物を発見。
今朝のサターン・タワーでも書いたが、
典型的な貫合による造形。別に機能的な
裏付けはないようだけど、やはり最近できた
だけあって、仕上がりがきれい。
テナントのリストを見ると、どうやら政府
関連の機関が入っているようだ。
この角度から見ると、上に角度を
ずらして載せた直方体の意味合いが
ちょっとわかったような気がした。
これは上の貫合デザインのビルの隣
にある、駐車場のスロープ。どうやら、
Landstrabe 駅の一部のようである。
広告が入っているので、全体が見えない
が、とても面白いデザインだと思う。
この建物は政府庁舎(Bundes-amtsgeb)
らしいがこれも上記の貫合ビルの隣に建って
いる。
かなり年季が入った白色のビルに、比較的
新しい暖色系のタワーが建つ。
完全に想像だけど、窓がないので、この暖色
系の部分に後付でエアコンやエレベーター、
給水施設などが包含されているのではないか
と思う。
不思議なくらい、見事にマッチしていた。
そしてすぐのところに郵便貯金局が
ある。1906年にオットー・ワーグナーが
設計したもの。
本当の建築マニアは、このような歴史
的な建築物に興味を示すのだろうが、
私には清潔感があるものの、あまり
興味が沸かない...。
と、思っていたが、今こうやって写真を
見ながら、訪れたときのことを考えていると、
その絶妙なバランスになるほどと思い、
素晴らしさが(ふつふつと)分かるように
なってきた。
日曜日だったため、ここも中に入れな
かったのが残念。また、行ってみたい。
シュテファン寺院にもう一度行って
みるが、またミサの最中。
ご覧の通り、一般観光客は柵の中には
入れない。参考まで。
時間調整を兼ねて、ビールでも一杯と思い
アメリカン・バーに行ってみた。アドルフ・
ロースの設計。
中に入ろうとしたら、入り口に張り紙が...。
「常連のお客さんがくつろげないので、団体客
または見学の方の入店はお断りします。」
とのこと...。ムカッと来て、すぐに立ち去った。
ウィーン中央銀行本店だと思って写真を
撮ったが、いま確認すると、そのビルは
ドメニクの設計だという...。
写真では分からないが、ブルーの色使いが
とても印象的なビルである。しかし、ドメニクと
は思えないデザイン・テーストである。
どんな内装になっているのか確認するべき
だった...。
コープ・ヒンメルブラウのルーフ・トップ・
モデリング。
本当にここを探し当てるのにかなり歩き回って
しまった。
「ヨーロッパ建築案内」に書かれている通り、
路上から見上げても、その姿はほとんど見え
ない...。
ということで、市内をかなり歩き回り、また、
シュテファン寺院にやってきた。
ようやくミサが終わり、祭壇まで見に行くこと
ができる。
この寺院も十分に魅力的な室内空間を持って
いるが、これまで素晴らしい寺院を見過ぎたと
思う。あまり、強い印象は持たなかった。
これは後ろを振り返ったところの写真。
パイプ・オルガンと思われるパイプが配置
されているが、先ほどのミサの間は管楽器
が使われていたようで、その音色を確認
することができなかった。
振り返ってみれば、室内としてはパステル・
トーンのタイルのようなステンド・グラスが
一番の見所かもしれない・
もちろん、他を圧倒するような存在感の
外観は十分に見ごたえがあるのはいうまでも
ない。
この日のメイン・イベントの一つである、
国立オペラ座を見学。
すっごい人数がオペラ座前に並んでいた
が、結局、説明する言語でグループとなる
ので、英語で説明を受けるのでなければ
それほど急ぐ必要はない。
舞台ではリハーサルが行われていて、
臨場感はあったが、正直、イマイチ。
オペラ座の説明が終わったので、すぐさま
近代美術館にいってみた。
中に入って、ピカソなどの作品を鑑賞する
時間はもうなかったので、外観しか見ることが
できなかったが、美術館だとしてもとても特異
な形状をしている。
本当は、このスリット状の窓がどのような演出
をするのか確認したかった...。
これはすぐ横にある、レオポルト美術館。
上の近代美術館と対比すると面白い。と、いうか
これだけ見てもあまり面白くない。
意味ありげな窓の切り方がちょっと気になる。
上の2つの美術館の先にある広場に置かれて
いる売店。とてもシュールな形状で、出入り口や
窓の開き方も面白い。
丁度店じまいした後だったので、それが写真
では分からないのが残念。
最初は戦没者の記念碑化と思った。でも、
どうやら、よく見ると、黒い部分が地下鉄の
換気口。左右にわたる細い帯が、換気口を
越えるための通路。
とても緊張感があり、素晴らしいデキである。
恐らく10代の音楽学生が、建物の通路で
チェロを弾いていた。その腕前と、幅広い
音域にビックリ。正直、目から鱗が落ちる
思いだった。
ウィーン最後の日だし、今回の旅の仕上げ
として、暫く時を忘れて、音色に酔いしれて
いた...。
ロース・ハウス(Looshaus)。アドルフ・
ロースの設計。建てられた当時は、装飾がなく、
あまりにもシンプルであったため、市民の間で
論争の的になったという。
確かに、上屋はペラペラしたような感じはある
が、下半分が品質感に溢れているので、全体
的には安定し、清潔感を感じる。
これはマインツ書店。ちょっと中に入って
みたがディテールの質感が高く、全体的にも
高級感がある。これもアドルフ・ロース。
この後、昼間に切り売りピザを食べに入った
店でラザニアが美味そうなのでマークしていた
が、市内観光も一段落したので、お腹はあまり
空いていないが注文した。
美味い美味い! もともとチーズの味が強め
に出ているが、上からさらに粉チーズを掛けら
れているので、味的にはトマトソース3:生地1:
チーズ6位のバランス。
そしてボリュームが凄い。普通の女性なら、
昼食2人で分け合って丁度良いくらいだと思う。
写真があまり上手く撮れていないのが残念。
一度ホテルに帰って、荷造りを始めたが、
腹が減ってきたので夜食を求めて外に出た。
昼間はやっていなかった、カバブを売って
いる!迷わず注文。
場所は地下鉄シュヴェーデンプラッツ駅を
上がったところ。そしてホテルからもすぐ。
日本でも何度か食べたけど、ここのカバブは
野菜も肉もジューシーで、本当に美味い!
2晩連続だけど、全く気にならない。
グヤーシュ、この日に食べたラザニア、
そしてこのカバブが今回の旅のグルメ部門の
トップ3だな。
ウィーンは街全体が音楽や建築だけでなく、いろいろな分野においてボキャブラリーに富んでいるという印象。極端な言い方をすれば、注意深く街中をチェックしている者には満漢全席である。ゲップ!
帰ってから、インターネットでいろいろ調べていると、下記のウエブサイトを発見。オーストリアの主要な建築物のインデックスとして使える。もちろん無料サイトです。
http://www.viennaarchitecture.at/
いやーっ、とっても忙しく歩き回り、充実した日々が過ごせました。楽しかったを通り越して、本当に刺激的だった...。毎日のように新たなものに感動してました。ひとりで、こんなところに来て、ここまで楽しめるとは思わなかった。
ローマ3日、ブダペスト3日、プラハ1日、ウィーン2日という強行スケジュールだけど、正直、あと倍の時間があったら、より充実したものになっていたと思う。ただし、20日近くを連続では、なかなか休みも取れないだろけどね。
友達とよく最近、「ヨーロッパは貯金をしてでも行け!」と話しているけど、またまたそれを実感しました。
< ミッション・コンプリーテッド>