にわか建築マニア in ヨーロッパ '04そんなあ...。ウソでしょ...!?
9月20日(月)
この日は飛行機でウィーンに戻って、そこから電車でブダペストに移動する予定。
かなりの余裕を持って空港に着いて、チェック・イン・カウンターに向かった。早く着き過ぎたので、なにをしようかと考えていると、なんだかカウンターの男性がカチャカチャやっている。かなり長い間端末を叩いた後の彼の言葉は:
「Not Today...」
「はあ〜あっ?」とまずは耳を疑ったが、チケットを確認してみると、確かに出発が9月22日になっている...。発見の際に添付されていたスケジュールを確認すると、インターネットで依頼した通り、20日発になっている。明らかに発券ミス。
そのカウンターの男性にどうすればいいのかと聞いてみると、とりあえずチケット売り場に行ってみたらというので、アライアンスの窓口で事情を説明してみるが、スケジュールの変更はできないという。
月曜日だし、旅行代理店に指示を仰ごうと思って電話をしてみると、休みのようである。そういえば、日本は祭日だった...。緊急連絡先の案内も無い。
ここは腹を据えて、オーストラリア航空でウィーンまでいくら掛かると聞くと、424ユーロ(約58,000円)だという。ちなみに、ブダペストに直行だと500ユーロを超えていた。
で、試しに「イタリアなんだから」と、アリタリア航空で聞いてみると、ブダペストへはマレブ航空との共同運航とはいえ、なんと299ユーロ(約4万円)だという!
旅行代理店が負担してくれるかは確認できていないが、いろいろ考えていても仕方ないので、チケットを購入。結果的に、約1時間前に出発し、おそらく5時間以上早くブダペストに到着できた。
ちなみに、日本に帰国後その旅行代理店に連絡して、報告したら、ウィーンまでの分、58,000円を負担してくれた。いろいろドキドキすることがあったが、結果オーライだね!
ブダペストの空港。バスのチケットを買おうとする
と、なんとユーロがまだ使えないのが分かった。
仕方ないので、空港で両替して乗車。フォリント
なんていう名前の通貨なんか聞いたことない...。
ホテルがある地下鉄のネープリゲト(Nepliget)駅
には無事に降りることができたが、ホテルがある
方向が分からない。かなり歩きまわってしまった。
ホテルの場所はかなり辺鄙なところにあるが、
部屋がかなり広い。水周りはいまひとつだけど、
これで51ユーロなら大満足である。
受付にいたレスリー(Leslie)がとても親切で機転
がきくので、ホテルの印象もさらに良くなった。
また、服を洗濯するところがあるかと聞くと、ホテル
でやってくれるという。クルマがある人やマコヴェッツ
を見に来た人にはお奨めである。
但し、エアコンはないようなので、夏の快適性は
分からない
折角、ブダペスト直行便で来れたのだから、早速
フォルコシュレイトの斎場にタクシーで向かった。
デイビット・ボーイ風の無口なドライバーの派手な
運転に耐えること約20分。斎場に到着。チップを
約1割を加えて、3,000Ft(約1,800円)を支払う。
墓地の門は開いているが、斎場は扉が閉められ
ている。建物はとてもこじんまりしている。想像して
いたより2分の1の規模(スケール感)である。
作りも基本的には簡素で、入り口部分を除けば、
普通の民家のようである。
予約表を見ると、どうやら斎場としては3つあり、
真ん中の2番がメイン。両脇が待ち合わせの場所
や準備、または小規模の式に使われているようで
ある。
中を見れないのはとても残念である。
仮に中に入ることができたとしても、葬儀の最中
だろうから、写真を撮りまくるようなことはできない
だろう。
建物の裏手から見るとこんな感じで、とても世界
的に有名な作品だとは思えない。
運転手に待っていてもらい、帰路はくさり橋に行く
ように頼んだ。待ち時間(10分くらい?)とチップを
含めて2,000Ft。
降りてから地図を見ると、どうやら違うようだ。周り
の人に聞いてみると、自由橋だという。だまされた、
というか、なめられた感じがした。
バーガーキングはこの街には驚くくらいある。
ちなみに、この店はハンバーガーとポテトは冷えて
いるし、コーラは炭酸が抜けていた...。
まずはシナゴーグに行ってみる。かなり特異
な外観に驚かされる。
見学時間は5時まで。到着したのは4:30を
2、3分過ぎたところ。
だが、入場は4:30までとのことで入場でき
なかった。あまりにも愛想の無い係員の態度に
交渉する気もなくし、次の場所に向かう。
次に向かったのは聖イシュトヴァーン大聖堂。
もともとかなり期待して中に入ったが、そのデキは
予想以上であった。すばらしい!
構成は通常の教会の定石通り、上から見て十字
架の形をしている。ただ、その質感が素晴らしい。
そして入場無料!!そのためか、行列もできて
いない。
バチカンのサン・ピエトロ寺院、レンゾ・ピアノの
音楽ホールに続き、ここまでの大ヒット!!
また、私の勘違いかもしれないが、外の天気によって奥のドームの色合いが変わって見えるようである。晴れた日には青みを帯び(上の右側の写真は晴れた日の奥のドーム)、曇り、雨の日には手前のドーム(上の写真の左側)と同じ暖色系に見えるようである。実はタダなこともあり、3回くらい見てそう思ったのだが、検証はできていない。
続いて、国立オランダ・ハンガリー本社&ING銀行に向かった。しかし、アンドラーシ通り沿いにあるようだが、なんども行き来しても見つからない。試しに裏通りに入ってやっと発見。屋上にある繭のような造形物も、中のレイアウトもさっぱり分からない。唯一分かるのが、道路側にせり出した外観のみ。もう少しちゃんと見たかったので、残念。
ちなみに、実際に建物の横を歩いてみると、意外に圧迫感を強く感じる。
くさり橋はブダペストのブタ(西側)とペスト(東側)を最初に結んだ橋。ブダペストの歴史を語るときには欠かせないようだ。このライオンの像も有名。
晩飯はホテルの中にあるレストランで摂った。
ウエイターに典型的なハンガリー料理を食べ
たいといって、メニューを決めた。
まずはグヤーシュ。ビーフシチューやボルシチ
に近いが、かなりパプリカがきつい。そして、
ちょっと塩っぱかったが、本当に美味かった!
ううっ、また食べたい...。
メインはガチョウのモモ肉。味付けが日本で
食べる洋食とは明らかに違う。土臭さのような
素材の風味を消すことなく、むしろ強調する
ようなとても薄味。でも、味付けとして物足り
なさは感じない。
(新?)キャベツが混ざったマッシュド・ポテト
も美味いのだが、グヤーシュとともにパンを
かなり食べてしまったため完食できなかった。
ごめんね、グース。
9月21日(火)
今日は今回のツアーのメイン・イベントであるパクシュ(Paks)にあるイムレ・マコヴェッツ(Imre Makovecz)の教会に事前調査なしで向かった。
事前調査なしというよりも、東京にいる間にインターネットなどを使って、いろいろ調べてみたが、なにも抽出されず、その教会がパクシュというブタペストの南方の街にあるということしか分からない。
それでもインターネットでパクシュへの行き方を調べてみたが、列車は一日一往復だけ。バスは朝夕に一時間おきにある位である。
どんなことが待ち受けているのか、ハラハラ・ドキドキである。
パクシュ行きのバスは東駅から出ていると思って
いたのだが、よく調べてみると、ホテルの最寄り駅
であるネープリゲト駅から出ていることが分かった。
運気が回ってきたような気がした。
最初のバスは7時20分だと確認していたが、
早めにホテルを出て、バス・ターミナルに向かう。
まずはターミナルの地下でチケットを購入。片道
で1,390Ft(約850円)だった。
非常用のパンと水を買い、1階のターミナルへ。
行き先表示板にはパクシュと表示されていたので、
これでちょっと安心した。
ちなみに、この日は13番ターミナルだった。
運転士にチケットを見せて、自分がパクシュに
行くことを強調して席に。
第1段階はこれで完了。
ちなみに、行きに乗ったこのバスはエアコンが
効いているし、シートのデキも良く快適だったが、
帰りのバスは最悪。お尻は痛くなるし、汗だくに
なってしまった。
次の段階は、確実に下車することである。
走り出したら約2時間経ったところで運転士が
5分休憩。ここでも、パクシュはまだかと確認。
ワクワク、ハラハラ、ドキドキである。
その後、途中工事渋滞があったこともあり、
予定の9時40分から大きく遅れて10時過ぎに
パクシュに到着。これで第2段階も無事完了。
さて、今度は教会の場所を聞きだし、そこまで辿り着かなければならない。
バス停にいたおっちゃんに教会の場所を聞いてみると、ここから2キロくらいだとハンガリー語で教えてくれた。
2キロ位なら楽勝!と歩き出そうとしたところ、その話を聞いていたおばあちゃんが中には行ってきて、「その教会は私の家のそばだから、一緒に行きましょう!」とはなしかけてきた。 彼女によると、バス停で数えても5つ分もあるから、やめた方がよいという。
基本的にはとてもうれしい申し出だけど、問題は次のバスまで30分以上ある。30分もあればバスが来る前に現地に着いていると思ったが、恐らく帰りは歩きになると思い、また、駅前にはタクシーなどはないので、おばあちゃんと一緒にいくことにした。
30分待って、バスが来たので乗車し、狭い二人掛けのシートに並んで座って、訳の分からないハンガリー語を聞きながらの路線バスの旅である...。 停留所をいくつ過ぎたかは覚えていないが、おばあちゃんが騒いでいるので見てみると、マコビッツの教会の塔の一部が見えてきた...。
早速バスを降りて、おばあちゃんに手を振って
みると、嬉しそうに微笑んで彼女も手を振って
きた。
教会を見ていると、もう我慢できなくなって、
思わず走り出してしまった!!
「すごい!すごい!すごい!」のまたまた
連発である。
上の写真を良く見てみると、手前の塔の
部分と後ろの礼拝堂部分とは軸が微妙に
ずれているのが分かる。
実際には測っていないが、恐らく30センチ
位ではないかと思う。
表面は魚のうろこの様な形で、不思議な
光沢感を持つ素材で覆われている。
後ろの礼拝堂部分と、手前の塔の部分が
分かれている。
残念なことに、礼拝堂の入り口の鍵は閉め
られていて、中を見ることができない。
上の写真の中央に映っている天使像(?)
の台座は左の写真のように渦を巻いている。
この角度で見ると、本当に建築物には
思えない。まるで。巨大ウミウシのようで
ある。
建物の後ろには勝手口があるが、
ここもマコヴェッツらしい、動物を
イメージさせる造形となっている。
ミミズクあたりだろうか。
2つ上の写真と同じような角度だけど、
ちょっと離れ気味で撮影。
勝手口のデザインは塔や礼拝堂とは
全く異なるのが分かる。
勝手口からは参道のように小道が
延びる。でも、見方を変えれば、ナメクジ
が歩いた後のようにも思える。
普通の住宅地の中に忽然と現れている
様をご理解いただけるか?
勝手口の雨よけの上には流木のような
枝が置かれているが、これが何を意味する
かは察することができなかった。単なる
換気口かな?
教会の入り口が閉まっていて、中を見る
ことができないのは本当に残念である。
でも、折角ハンガリー、そしてパクシュまで来たのに。あの情感極まる室内を見れないのは尾道まで来て、朱さんの店でラーメンを食べないで帰るのと同じと思い、試しに近所の方に聞いてみた。
すると、笑顔で神父さんの家がそばにあることを教えてくれた...。
もちろんアポなしで、とりあえず神父さんの
家に向かった。
しばし躊躇した後、思い切って呼び鈴を押した。
すると、暫くして奥さんが現れた。ハンガリー
語で何をいっているか分からないが、恐らく神父
さんが昼食中か、着替えているといっているの
だろう。
暫くして片脚を引きずるようにして神父さんが
現れ、教会の中まで案内してくれた!
想像通りの素晴らしさに声を失う。呼吸も暫く出来なかった。その位の緊張感に満ちている。でも、その一方暖かさを感じたのは、建物全体が木造のためだろうか。逃げ出したくなるような感覚は全く無い。本当に部屋全体が素朴な空気に満ちている。
教会へは長距離バスから降りた道(Tolnai
ut)
を更に進み、約2キロ進んだあたりにT字路が
あり(Ujtemplom utca)、その向こうには教会が
見える。
イムレ・マコヴェッツの作品を語る際に、
ヴァナキュラー(その土地の言語:Vernacular)
という言葉が使われるが、沿道では特異な
デザインの建物を数多く発見した。
地元の人に聞いてみると、ブダペスト行きのバスは9:31の次は13:42とのこと。1時間以上あるので、電車があるはずだと聞いてみると、皆、電車はダメだといっている。理由は分からなかったけど、廃線になってしまったのか...?やることもないし、ブタペスト出身のジョージ・セル指揮
マーラーの第4交響曲を聴いていた。
アジア人が珍しいのか、みんなジロジロ見ている。そういえば、この街では一度もアジア人を見なかったなあ...。
パクシュはどんな田舎町かと思っていたら、生協のようなスーパーは2軒あるし、思っていたよりは拓けていた。
バスターミナルに着いた後、街中に出てみたが、
シナゴーグなどはもう入れない時間だった...。
写真の電車は恐らく近郊電車だと思われる。
新しさは感じないが、仕上がりはなかなかのデキ。
この日はさすがにご飯が食べたくなったので、中華
のテイクアウト店で晩飯を摂った。確かビールを1本
飲んで500円位だったと思う。安い!
わざわざハンガリーまで来て、パクシュの教会を見ることができなかったらどうしようかと心配していたが、なんとか無事に見ることができて、正直ホッとした。
明日はどんなものに感動するのか、考えるだけで武者震いがする!
< To Be Continued です >